放課後3事業“スタッフ力”アップ研修シリーズ[2]

今年度からスタートした、放課後3事業“スタッフ力”アップ研修シリーズの第2弾を11月21日に開催しました。
タイトルは「共感を生み出す!伝える力を磨く!体験ワークショップ」。学童・はまっこ・キッズは、スタッフの力に加え、保護者や地域の力があると、さらに充実します。保護者や地域に自分達の思いを伝え共感を得ること、伝えるだけでなくお互いに話ができる関係づくりに役立てばと、このテーマを設定しました。
講師は地域で子育てサポートの活動をはじめ、現在では神奈川区地域子育て支援拠点かなーちえの施設長を務めている塚原泉さんです。


 

参加者の自己紹介とアイスブレイクが終わった後、まずは『聴く』ワークを体験しました。

相手の話を「聴くだけ」のワークの様子

テーマにそって、1分、2分交代で相槌とうなずきのみでただ聴くという体験を通して自分のくせに気づく時間です。自分のことを相手に理解してもらうには、まずはこちらが相手を受け入れることから始まります。話し手が、自分のことを受け入れられたと思うと、、徐々に本心を打ち明けてくるそうです。

『ぶつけられてきた「要望」の背後にある「本心」を明らかにし、その「本心」に応えられるように解決策を共に考えることが重要です。』

 

次の話は「本心」=「感情」について。

このワークで用意されたのは、紐のついたたくさんの封筒です。
「この紐を一本引いて、手紙を一通受け取ってください。中身には『怒り』『好き』『疲れ』『楽しい』『悲しみ』などの感情を描いた紙が入っています。1人でみて、その感情をどんな時に感じるか、感じたらどうなるかをみなさんに伝えてください。ほかの方が、その情報をヒントに、紙に書いてある感情を当てます。」

封筒をひき、なかの手紙を確認する男性参加者

封筒を引いた参加者は、一生懸命に表現します。スラスラと伝える人は少なく、「どんなふうになるかな…」「こんな感じだけど、伝わるかしら」と、なんとか絞り出して伝える人が大多数でした。

『大人でも、自分の感情について伝えることは難しい。子どもはもっと難しいでしょう。それを理解して、気持ちを拾ってあげてください。』

 

また、このワークではもう1つ別のねらいがありました。

『自分の感情を振り返るきっかけを持つこと。』

印象的なシーンがありました。
研修終盤の最後のワーク。
「自分の心(ハート)を身体から出して手に取ってください。そして、やさしく、いたわりの声を掛けながらなでてください。」
「右の人に心を預け、左の人の心を受け取り、同じようにしてください。」
「心を持ち主にもどし、自分の身体に戻してあげましょう。」

優しく「心」を手にとる女性参加者

すると、参加者の一人から涙がこぼれました。ご本人も驚くくらい、自然にこぼれました。
知らず知らずのうちに、日々の抑えていた自分の気持ちを振り返り、受け入れられた証のようでした。
『たくさんの感情のなかで働く人は、自分の感情を振り返り、大切にしてあげることも重要です。』

放課後事業のスタッフは、いつでも全力で子どもに向き合い、放課後の居場所を充実させています。ですが、スタッフだけでは力が及ばないこともあります。保護者や地域を頼りたいのですが、遠慮し、自分達でどうにかしようとします。
悩むスタッフに、塚原さんはこう伝えます。

『頼る事は愛を伝えること』

頼っていいのです。頼るときに、お互いの本心=感情が満たされるように、聴いて、伝えて、話し合って。これらを繰り返しながら、Win-Winの関係が築いていくことを、塚原さんに教えていただきました。

 

塚原さんが運営に携わる地域子育て支援拠点かなーちえで、子育て中のお父さんお母さん、そして地域に伝えているものをご紹介。

年期の入った「子どもの育ちあいうえお」の写真
「子どもの育ち.あいうえお」
(白梅大学 師岡章先生の講演会より作図)

地域に出向くときや親子で遊ぶイベントのときに、目でみてわかりやすいように紙芝居にして話しているそうです。
「子どもがいうことを聞いてくれなくて…」「いつもうるさくて、ついつい怒っちゃう」
お父さんお母さんにとっては、もうっ!と思う行動が、実は子どもの育ちにとって大切な過程であることを伝えます。
ただお話しするだけでなく、塚原さんは親子での遊びや何気ない関わりの中で子どもの代弁者となって伝えるそうです。
子どもの特性をたくさんの大人に伝え理解を得て、「お互い様で迷惑かけあって、地域のみんなで子育てしていこう」とメッセージを伝えることが、子どもと関わる大人の役割だということを教えてくださいました。

言葉とともに心を伝えること。言葉とともに心を受けとめること。この2点が、共感を生み出すスタートとなるにではないかと、この研修から感じました。ぜひたくさんの放課後事業スタッフに、保護者や地域の皆さんと心を通わせてほしいと思います。

放課後キッズクラブ

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