講座「障がいを超えた子どもとの関わり方」報告 ~その③~【育成センター】
報告の最終回です。
3回目の今回は、講義内容の後半部分についてご報告します。
後半では、子どもたちとの関わりの中で障がいのある子をどのように支援したらよいかについてお話いただきました。
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<自尊感情を育むには>
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一度に多くのことを求めると混乱してしまう。やってもらいたいことの優先順位を設定し、一つずつクリアしてもらうことで、自信を持つようになる。
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叱るときは個人を叱るのではなく、行動を叱るようにする。そうすることによって、周囲の子どもたちもしてはいけないことだと解り、結果的に皆のためになる。
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結果だけで評価するのではなく、過程に変化が見られれば、成長したことを認めてあげる。
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問題行動よりも良い面に目を向ける。それによって周囲も子どもを認めるようになる。
発達障がいのある子は、周りの子たちとは行動が異なるために叱られる機会が多く、自尊感情が育まれにくいそうです。それぞれの子のペースに合わせて少しでも変化が見られれば褒めてあげるなど、プラスの評価をすることが成長に繋がるようです。
<子どもたちの集団における対応について>
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得手不得手は皆にあるので、子どもたちそれぞれの得意なものに応じて役割を割り振る。障がいのある子を周りの皆で助ける、ということではなく、皆の一員として障がいのある子もいる、という環境をつくると良い。
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子どもたちの中にキーパーソンを見出し、子どもたちのまとめ役を担ってもらうなど、スタッフに協力してもらう。
多くの現場では、少ない人員体制の中、スタッフが一人の子に対してかかりっきりにはなれない状況にあると思います。スタッフだけでなく子どもたちにも協力してもらえるような環境を作ることは、人手を補うばかりではなく、子どもたち同士の理解を深めることにも繋がるのではないでしょうか。
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講義の最後には、質疑応答の時間を設けました。参考として、いくつかご紹介します。
・・・Q.1・・・
障がいのある子たちに対するからかいを止めさせるにはどのように伝えたらよいですか?
・・・A.1・・・
いけないことはいけないと伝えます。それでも止めないようであれば、担任の先生等に相談するとよいでしょう。但し、その子と遊びたくてちょっかいを出していることも考えられるので、その点をきちんと見極める必要があります。
・・・Q.2・・・
障がいのある子同士で、上級生の子が下級生の子の成績を聞き出そうとします。止めさせるにはどうしたら良いですか?
・・・A.2・・・
上級生の子は、恐らく自分の成績が良くないことを気にしていると考えられます。成績表に表れない、その子の良いところを見つけてあげると良いでしょう。また、居場所独自の成績評価を設けて、評価してあげると良いと思います。
・・・Q.3・・・
アスペルガ―症候群の子どもに謝ることを覚えさせるにはどのように指導したら良いですか?
・・・A.3・・・
謝るべき状況であることを本人が理解しているか確認し、状況について説明します。相手の子どもに直接伝えられないようであれば、文字にしてもらい、スタッフが仲介役となって子どもに伝えるようにします。但し、個々によって性格の特徴が異なるので、障がい名によって一律な対応はせず、個々に合った対応をすると良いです。
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エジソン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アインシュタイン・・・
偉人と言われる彼らも発達障がいがあったのではないかと考えられているそうです。
発達障がいのある子たちは、周囲の子たちと発想や行動が異なります。しかし、「発想や行動の違い」は世の中を変えていく可能性を秘めています。 可能性を引き出すためにも、私自身も含めた周りの人間が、子どもたちの理解に努めることが大切なのだと、心を新たにしました。