募集・お知らせ

  • 掲載日:2020年2月27日
  • 掲載者:事業課

【開催報告】 「成人年齢引き下げに関する勉強会」を開催しました!(2/18)

2020年2月18日(火)、静岡県立大学の津富宏(つとみ・ひろし)先生にお越しいただき、

成人年齢引き下げに関する勉強会」を開催しました。

今回は、青少年育成に取り組む団体や支援機関のスタッフなど13名が参加してくれました。

この「勉強会」は、よこはまユースが調査・研究事業の一環として開催しているもので、

今年度は、民法改正により2022年に「成人」が20歳から18歳に引き下げられることを受け、

成人年齢の引き下げ」をテーマとして取り上げました。

(正確には「成年年齢」ですが、一般的に「成人年齢」という呼び方が定着しているため、

今回はそちらを採用しています)

 

講師の津富先生は、法務教官として少年院での矯正教育に関わり、

その後、静岡県立大学の教授として、学生や地域の方とともに様々な社会問題に取り組むかたわら、

NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡の理事長として、

「静岡方式」と呼ばれる伴走型就労支援を実践しておられます。

また、ユースワークの研究会メンバーとして、欧州のユースワーク関連文献の翻訳・研究にも取り組んでいます。

 

今回の勉強会では、まず津富先生から「成年年齢の18歳引き下げとユースワーク」をテーマにご講義いただき、

後半は参加者全体での意見交換を行いました。

 

 

「成年年齢の18歳引き下げとユースワーク」

 

はじめに、津富先生から基本的な論点が示されました。

論点1:「境界年齢の問題」=「保護から除外されるリスク」と「権利行使の拡大に伴うリスク」

論点2:「自立/大人」概念の問題=成長発達権の上限はどこまで及ぶのか?「モラトリアム/移行期間」はいつまでか?

講義の要点を以下にまとめました。

・法律が変わったからといって、社会が変わるわけではない

・先行の選挙権引下げ(政治参加の権利拡張)が主眼であり、民法改正のきっかけになっている

成人年齢引下げは、本来は若者の「権利行使の拡大」であり、ユースワークとの整合性は高い

・そもそも「大人になる=責任が重くなる」という考えが日本社会の主流になっていて、若者自身が「権利拡大」の視点を持ちにくいのではないか?

・欧州など諸外国では「18歳成人」が既に現実であり、若者にとっても「当たり前の権利」という感覚がある

・女性の婚姻開始年齢の引き上げによって、16歳~18歳で親権と婚姻が重なっていた部分の整合性がとれた

本人の権利拡大と親による保護の縮小はセットであり、ある意味では「自己責任」に向けての法改正。「できるだけ早い時期から責任を持ってもらうことが政治参加につながる」という考えに基づく権利付与なので、本来は個人と国家の関係が強まっていくはずだが、実際は「もう大人なんだからなんとかしなさい」という新自由主義的な自己責任論になってしまいがち

・日本財団は2018年に「18歳成人」をテーマに18歳前後の若者への意識調査を実施している。

・同調査結果を見ても、一般の若者と少年法関係者の意見は真逆の方向にずれている。(少年法の適用への賛否を見ると)いまの若者は他者に厳しい傾向がある。飲酒以外に特段やってみたいことはなく、権利拡大より責任拡大と認知していることが分かる。

・ネガティブな意見が圧倒的に上位を占める。不安な人のほうが多い、というのがポイント。支援者側も心配している意見が多い。

・内閣府は中学2年生~20代が「成人年齢引下げ」いついて内閣府・法務省職員と意見交換を行う「ユース・ラウンド・テーブル」を実施。意欲的な参加者が多く前向きな回答が目立つが、若者当事者の意見を聞く場を設けることはとても重要

・配布した「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」工程表から、政府が「18歳成人」に向けて計画・検討している取り組みを知ることができる。主な項目は「若年者の消費者教育」「与信審査」「若年者の自立支援」「改正民法の周知活動」「成人式の時期やありかた」など。

・ユースワークでできることは、「18歳引き下げについて、若者ともに学び、大人と協働しつつ、社会を変えていく」こと。啓発や周知活動を若者とともに行うことや、生活困窮リスクのある若者の自立を支える仕組みをつくること。

・大切なのは、ユースワーク自体を権利基盤で展開すること。社会は義務(責任)ではなく、権利を基盤としているということを体験できる機会、判断する機会や大人と協働する機会をつくること。大人がやりたいことを押し付けるようなパターナリズムを乗り越える必要がある。

※津富先生の配布資料で、ネット上で公開されているものはページ下部にまとめてあります。ご参照ください。

 

「18歳成人」をめぐる意見交換

 

後半は、津富先生も交えて参加者全体での意見交換を行いました。

参加者から、

  • 高校在学中に妊娠・出産する生徒もいる中で、女性の婚姻年齢が18歳に上がることの影響も気になっている。結婚・子育てを通して親としても成長していく側面もある。法改正がどのような影響を与えるのか注視していきたい。
  • 消費相談の現場ではネットワークビジネスや学生ローンの相談が多くなっている。お金がない人ほど「借金→信用情報が傷つく→人生設計が狂う」の悪循環に陥る可能性がある。
  • 大学入学直後の新入生歓迎会でネットワークビジネスの勧誘が始まっている。断り切れず契約してしまったり、詐欺に加担した場合、18歳からその責任を問われることになる。
  • ヨーロッパの主権教育はどのように行われているのか?学校教育を通して行われているのか?関心を持った。
  • 日本の学校教育では「契約」について十分に教えられていない。消費相談に来る人の大半は「契約」を理解してていない。もっと若い年代からの教育的な取り組みが必要。
  • 「成人年齢引き下げ」と聞いて真っ先に思い浮かんだのが「障がい年金」。当事者が障がいを受け入れていても、保護者が拒否して受給に至らないケースも少なくない。年金受給が様々な社会資源につながっていくきっかけにもなる。18歳で当事者が決定できるようになってほしい。
  • 周知・啓発に取り組んでいる行政の立場で、高校を通して生徒にアプローチしようと試みているが、なかなか上手くいかない。出前講座以外の効果的な取り組みがあれば、知りたい。

 

といったご意見・ご感想がありました。

 

それに対して、

  • 高校の総合学習では「商店街の活性化」など地域課題を取り上げ、高校生が解決に取り組む実践事例も増えている。この「課題」のひとつとして周知・啓発を取り上げてもらうのはどうか。
  • 教員が授業で扱いやすいようにパッケージ化できると良い。高校教員は啓発の必要性を実感している。
  • 高校は入試改革で手いっぱいの状態かもしれない。中学校にアプローチしたらどうか。
  • 分野によって「成人年齢引下げ」の影響で起こる課題は異なる。メーリス等で日頃から情報交換できる仕組みがあると良い。
  • 若者に直接アプローチする方法として、若者が関心を持ちやすい人選でyoutube動画を作成するのも良いのではないか。短い動画なら授業にも取り入れてもらいやすい。授業以外の場面でも使える。

  • スウェーデンなど欧州では主権者教育が学校教育の中に組み込まれている。若者が自分たちで規約をつくって組織を立ち上げ、運営することも珍しくないので、「契約」を身近なものとして理解できているのかもしれない。労働においても企業等と個人が労働契約を結ぶことが当たり前。契約内容に応じて働くため、契約に対する意識が異なるのかもしれない。

 

など講師や参加者からコメントがあり、限られた時間の中で活発な意見交換が行われました。

 

アンケートでは、「ディスカッションができたのがとても良かった」、「また来年も開催してほしい」、

児童支援も含めた色々な団体の交流形式でワールドカフェなどができると良い」など、

来年度以降も継続してほしい、というご意見が多かったです。

 

2022年からはじまる「18歳成人」に向けて、本勉強会は今後も継続して開催する予定です。

より多くの方にご参加いただきたいと思っておりますので、ご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問合せください。

 

【配布資料】

・(提言)「若者支援政策の拡充に向けて」/日本学術会議

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-t247-2-abstract.pdf

・民法の成年年齢引下げ法案の国会上程に対する会長声明/日本弁護士連合会

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2018/180315.html

・成年年齢引下げをテーマとした「ユース・ラウンド・テーブル」の開催(内閣府主催)

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00251.html

・第1回18歳意識調査「18歳成人について」(日本財団)

https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2018/12/wha_pro_eig_03.pdf

・「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」工程表(法務省)

http://www.moj.go.jp/content/001268554.pdf

・「ネットワークビジネスから身を守るために知っておきたい5つのコト」(静岡県立大学国際関係学部津富研究室)

https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/news/20200226-1/

・参考:成年年齢の18歳引下げの影響(予測)/津富宏教授作成

◆本件に関するお問い合わせ先:公益財団法人よこはまユース事業企画課

TEL: 045-662-4170 MAIL: kikaku@yokohama-youth.jp 

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