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  • 掲載日:2013年10月9日
  • 掲載者:shisetsu

【講座報告】連続講座 青少年の居場所づくり講座  ≪特別講義≫

実践から学ぶ!青少年の居場所づくり講座

今回は、特別講義のご報告です。青少年広場を見学後、講師の話を聞きました。

 

◆◇◆特別講義「さまざまな背景を持つ青少年の居場所」からの抜粋◆◇◆

                      講師:ことぶき青少年広場運営副委員長 石井 淳一

 

石井さんからはまず「寿地区という街」の変遷についてお話をいただきました。

 「横浜市中区寿地区はかつて日雇い労働者の街でした。寿では、酔っぱらったオジサンが街角で寝ている光景をよく見かけるところから、だらしがない人たちが住む街と評されてきました。しかし、現在の寿は元々生まれ育った地域に住みづらくなった人々が辿りつく場所で、集まった人々を排除しない街です。つまり、一般社会から受けとめられない人々を受けとめている街が現在の寿地区の姿であり、酔っ払って寝ている人の中にも地区外から流入してきた人が少なくないと思われます。

 

 1983年、中学生による「横浜浮浪者殺傷事件」が起きました。横浜スタジアムで寝ていたホームレスの人々を中学生が集団で暴行するという衝撃的な事件でした。石井さんはこれをきっかけに寿の街に関わり始めたそうです。当初は「○○をしなければならない」といった構えた気持ちで関わろうとしていましたが……。

《石井淳一さんのお話》

 寿の子どもと関わり始めた時、僕は「やさしいお兄さん」を演じようとしていたんですね。でも、5年ほどの寿の子ども達との関わりの中でもう「やさしいお兄さん」はやめてしまおうと思いました。実際「やさしいお兄さん」を止めても、その後の子どもとの関係にそれほど変化はありませんでした。子どもたちにとっては、「やさしいお兄さん」だからつきあっているのではなく、石井という個人とつきあっているという感覚しかなかったのでしょう。僕自身、とても楽になりました。演じないで良い、仮面をかぶらなくて良い、と言うことで。

 「ことぶき学童保育」には、寿以外から通ってくる子どもの方が多く、自分たちの地域社会でなかなか居場所を見つけられない子どもが多く集まってきます。半分ぐらいの子どもは外国とつながりのある子ども達で、主に中国系、韓国系、フィリピン系の子どもが通ってきます。日本と全く文化が違う子どもが、日本の地域社会・学校社会に入ることはとても大変なことだと常々感じています。例えば、新しく来た中国の子どもたちの中にはなかなか「順番を守る」ということができない子がいます。先日、中国からの留学生に「中国ではそもそも順番という文化があまりないのではありませんか」ときくと、「確かにそういう面はある」と言っていました。そういった異なる文化背景を持つ子ども達が、いきなり日本の地域社会、学校社会に馴染むのには、かなりのハンデがあると思います。

 普段から寿地区に集まる子どもたちは集団で(特に学校や年代の枠を超えた集団で)生活し、時に困難を抱えている子ども同士が支えあっている形になっています。だから「ことぶき青少年広場」では特別なことは全くしていません。僕らがやっていることは、「彼らに場所を提供していること」「そこで子どもたちと関わりをもつこと」「彼らと一緒に遊ぶこと」だけです。

 居場所としてどのような場にしたらいいか、というと、まず「居心地のよい場所」にすることです。

 現代は、子どもにとって、やりたいことや将来の夢を描くのが非常に難しい時代です。そんなイメージしにくい将来を実現させるために、今を生きることを棚上げにされるという、子どもたちにとってはかなり辛い状況にあります。また現代は、隙間(スキマ)」のない社会、でもあります。かつて地域社会には、「隙間」が一杯あって、子どもたちはそこで過ごすことで成長してきました。ですから居場所にも「隙間」的な面を持たせられればと思います。

 二つ目は、「そこに居ていい場所」にすることです。

 居場所は、困難さを克服するための専門機関ではありませんし、そうなってはいけないと思います。

 「困難さを克服する」ことが居場所の価値観として支配するようになると、その流れに乗れない子ども若者が「そこに居て良い」と感じられなくなってしまうからです。

 しかし、居場所では小さな困難さは友達や大人とちょっと話をするだけで解消することもあります。

 

 また、親や教師以外の話を聞いてくれる大人の存在が身近になることで、実際に「支援」が必要になった際に、相談機関等につなげることが非常にスムーズになります。(「大人に相談すること」の心理的な障壁が低くなる。)

大人は子どもや若者たちの話に耳を傾けることが一番です。彼らが大人に求めているのは、誰かに用意された「外側にある」答えではありません。

そして最終的には、一方的に聞くだけではなく、お互いに言い合える関係になるのがベストと思います。

 三つ目は「楽しい場所」にすることです。

 一緒に遊ぶことで、時間を共有したという感覚ができます。一緒に遊ぶことは、子どもや若者と関係を作るための早道だと思います。楽しいことをすると、彼らにエネルギーが貯まります。エネルギーが貯まると多少辛い事にも立ち向かえる気力が出来てきます。

 

※以上は、9月27日に「ことぶき青少年広場」において、石井淳一さんが講演された内容の一部を要約した文章です。

 

★特別編を挟みましたが、次回はテーマ研修②のご案内です。

また一時、気温が上がっていていい汗をかけそうです。 

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