【報告】シンポジウム「震災と子ども・若者のこれから」<その1~みんなといたから辛くなかった~>
改めまして、東日本大震災により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
さる11月5日(土)の午後、横浜市青少年育成センターで標記シンポジウムが開催され、横浜市内からだけでなく、岩手県や福島県、静岡県などの遠方も含め48人の参加がありました。
これは、直接的な被害は少なかった横浜でも、東日本大震災から見えたもの・気づいたことにきちんと向き合うとともに、さまざまな角度から子ども・若者に関わる人、そして若者自身が「これから」について考え・話し合う機会を持とうと開催されたものです。何回かにわたってご報告します。
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まず、岩手県大槌町安渡地区において、地元高校生たちとともに「青少年の居場所づくり」の支援をおこなっている、NPO法人ピアサポートネットしぶやの石川隆博さんから、映像を交えた活動報告をしていただきました。大槌町は沿岸部に位置し、甚大な津波被害を受けた町です。
ピアサポートネットしぶやは、渋谷区内の都立高校で「奉仕」の授業を委託されており、4月の授業で東日本大震災について書かれた新聞記事を取り上げました。その記事に書かれていたのが、安渡地区の避難所でボランティア活動を始めた地元高校生です。この記事をきっかけに石川さんたちは、都立高校の生徒たちとともに行った炊き出し活動に行きました。その後も安渡地区での「こどもまつり(縁日)」の開催、地域への訪問調査などで毎月大槌町を訪れています。
「居場所づくり」を支援しはじめた背景にあるのは、大槌町の高校生たちの「仲間がいたからやってこれた」「みんながいたから辛くなかったのかも…」という言葉。また、高校生たちは「場所があれば、集まりたい」という思いを持っていました。なぜなら、避難所が閉鎖されて仮設住宅へ移転となると、“みんな”は離れ離れになってしまいます。「ほうっておいたら、(この関係性は)自然に消えてなくなってしまう」「みんながいたから…という気持ちをまた掘り起こしてほしい」と、石川さんたちは、高校生たちが集まることができる「居場所づくりを支援しはじめました。
石川さんたちは、大槌町の高校生たちに必要な「居場所(集まる場所)」として、(1)場所……歩いていける近いところ (2)条件……地域の人々ができる範囲で (3)日常……特別ではなく、普通の生活の中に息づくこと、そして最後に(4)広がり……同世代との関係性 、 を挙げました。
ピアサポートネットしぶやは、現在も、継続して大槌町に足を運び支援活動を行うとともに、地元の方たちに「中高生による子どもの居場所づくり」への協力を呼びかけています。 (N)
■リンク:ピアサポートネットしぶやホームページ(大槌町での活動記録が掲載されています)